橋本 省二:ガンダムのアニメで、操縦性をコントロールするソフトをフロッピーディスクで読み込むシーンが出てきたのを覚えています。人々は宇宙で暮らし、巨大なモビルスーツを自在に操れる時代にフロッピーディスクです。あれだけの想像力をもつアニメ作者でさえ、IT化の未来はまったく見通せてなかったんですね。ですから、私たちがフラッシュメモリの膨大な容量に驚き、違和感を感じるのも当然ですよね。
感覚的に理解できないのは私も同じなんですが、そんな私たちがみんな共有している優れた情報記憶装置があります。もちろんDNAのことです。DNAの鎖は、最先端の半導体の線幅より細い。それでも
A, T, C, G でしたっけ?
1対につき2ビットの情報を保持でき、それが延々とつながり、絶妙に折り曲げられて細胞の核に入り込んでいるというのですから、半導体メモリに対する違和感どころではありません。しかも、そこからいろんな機能が発現し、自己複製をくりかえして、ついにはヒトの体ができあがる。もう違和感が爆発状態です。
自然界っておもしろいですよね。人類の技術なんてまだまだです。せっかくこういう疑問をもったのですから、こちらの本をご紹介しておきます。ファインマンの『聞かせてよ、ファインマンさん』という本の中に、『底の方にはまだ十二分の余地がある』という講演録が収められています。針の先にどれだけの情報を詰め込めるかという話です。私が覚えているのは、「物理法則で禁止されていないなら実現する可能性はある」というメッセージです。もう60年も前の講演ですが、おもしろいですよ。