こんにちは。私は「数学ガール」シリーズという数学青春物語を2007年頃から執筆&書籍刊行しています。いわゆる小説とは毛色が違うかもしれませんがご参考になるかもしれないので回答します。

物語を書く方法全般については、市販されている本がたくさんありますので基本的な情報としてそういったものを読むのが参考になると思います。ただし、そこに書かれている方法論にしたがって書けば自分の満足のいく物語が生まれるかというと、そんなふうに機械的にはならないと思います。

私の場合には、キャラクタが事前に心の中に生まれ、そのキャラクタといわば「お友達」になり、キャラクタをある特定の場所や出来事の中に配置するところから物語の執筆を始めます。事前にある程度は考えるのですが、詳細はほとんど考えません。場所や出来事(「数学ガール」の場合には数学の概念や問題)を与えられたキャラクタの「自発的な動き」にまかせ、それを記述する形で物語を書き進めます。

現在メインで書いている「数学ガールの秘密ノート」シリーズでは、毎週cakesというサイトでWeb連載を書き、そこでの10週分の内容を後日数ヶ月掛けてふくらませて1冊の本(300ページ前後)としています。

しかしながら、このスタイルになるまではずいぶん期間が掛かっています。また、このスタイルでしょっぱなから物語が掛けるとは思えません。「創作のハウツー」を学ぶのもいいのですが、強くお勧めするのは「まず、自分で短い物語を一つ書き上げる」ことだと思います。

ご質問に「試行錯誤」とありました。すでに何作か物語は書き上げた(人に見せられる形にまとめた)ものがあるならばいいのですが、もしそうではないとしたら、「どんな方法でもいいから、まず一つ書き上げる」ことを目指すのがお勧めです。

以上、何かの参考になればうれしいです。

なお、上で書いた「キャラクタ」の話は『数学ガールの誕生』という本で詳しく書きましたのでよろしければどうぞ。また、私が配信しているメールマガジンでも「文章を書く心がけ」や「本を書く心がけ」を紹介しています。

2021/08/12Posted
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