彩恵りり🧚♀️科学ライター✨おしごと募集中:これは「宇宙に存在する全ての電子が同じ電荷を持っている」というよりも、「特定の性質を持つ粒子を電子と定義する」と言っている方が正確かな?
電子と同じ電荷を持つ粒子なら、例えばμ粒子、τ粒子、Wボソン、反陽子と言った例があるよ。これらは電荷のみで見た場合、お互いに区別はつかないよ。ではどう違うのかと言えば、質量やスピンと言った他の基本的性質が、電子とそれ以外を区別しているよ。よって、「電荷が-1で、質量が511keVで、スピンは1/2で、色荷が0で……」という性質を満たす粒子を電子と定め、これらの1つでも当てはまらない場合、それは電子以外の粒子と言うことになるよ。この中で、特に質量以外の性質が共通するμ粒子とτ粒子は、まとめて荷電レプトンというグループにまとめられているよ。
実際、例えばZボソンという粒子は、崩壊で電子と陽電子のペアになることがあるけれども、同じ荷電レプトンであるμ粒子と反μ粒子のペア、およびτ粒子と反τ粒子のペアに崩壊する場合もあるよ。で、その確率はほとんど同じ値、つまり3分の1の確率で電子かμ粒子かτ粒子かに崩壊することが分かっているんだよ。これは、荷電レプトンが互いに質量以外の性質が全く等しいことに由来する崩壊分岐だよ。ある意味で、これらの実験や分析も、全ての電子が同じ電荷を持っているのか、というのを間接的に調べていることになるよ。電荷がない状態から電荷を持つ電子が生まれるには、必ず符号が逆で大きさの等しい電荷を持つ陽電子が生まれるし、質量は違うけど電荷は同じμ粒子やτ粒子が生まれることもあるよ。もし仮に、電子が粒子ごとに異なる電荷を持っていた場合には、多数の実験を繰り返すうちに異なる電荷を持つ電子に遭遇するはずだよね。そうすると、予測とは異なる軌道を持つ電子が検出されるはずだよ。しかし、そういった報告はないので、実験的にも確かめられている、と言えるよ。
Zボソンの崩壊における分岐比率。電子、μ粒子、τ粒子のペアに崩壊する確率はどれも約3.37%でほとんど一致しているよね。これは電子、μ粒子、τ粒子がほぼ同じ性質を持っていることを示す1つの証拠であり、理論上は誤差なく一致するはずだよ。
(画像引用元: The Review of Particle Physics)