大谷栄治:重要な質問をどうもありがとうございました.研究者を優秀かどうか判断することは,研究費の配分や賞の審査などいろいろなケースで必要になります.個人の研究成果の引用の程度の指標にh-インデックス(h-index)というのがあります.この指標は,内容を考慮せず,あくまでも引用数を基礎データに用いています.したがって,使用には注意が必要で,大きな弊害や問題点があり,例えば,サンフランシスコ宣言(2013年)Read
the Declaration (日本語) | DORA (sfdora.org) やライデン声明「研究計量に関するライデン声明
」(2015)http://doi.org/10.15108/stih.00050
において,引用指標の過度な使用に警鐘がならされています.評価についての日本の大学で倫理教育の内容にもなっている大学もあります.
日本で優秀な研究者という場合に,いくつかのケースがあります.年齢によって,「優秀」の意味が変わってきます.また,優秀についての基準も変わってきます.若手に対しては,smartつまり有能で,そつなく研究をこなす人,平均よりも多くの論文を執筆している若手研究者は,優秀と評価されることがあります.その結果,若手の賞を獲得することがあります.中堅やシニアの研究者に優秀という場合には,ある分野の研究において,質と量で大きく貢献し,その分野に大きな影響を与えた方を優秀な研究者と評価します.しかし,その分野を変革した素晴らしい研究者については,優秀と評価するというよりは,評価者の基準を超えている偉大な研究者と言われるのではないかと思います.