竹村俊彦:天気予報が外れることがあったり(特に雨の時間帯や雨量)、集中豪雨は直前にならないと的確な予測ができなかったりすることから分かるとおり、未解決の問題だらけです。流体力学の運動方程式の非線形性のために、気象現象の予測を決定論的に行うことはそもそも不可能(カオス)なのですが、理解できていない課題について解決を進めていけば、予測精度を向上させることはできます。例えば、私の研究に近い分野だと、雲には、水滴でできているものと氷の粒でできているものがありますが、氷の粒がどうやって生成されるのか、定性的には理解されていますが、それを方程式系で表現することはできていません。このことは、気象や気候変動の予測の不確実性を生む要因の1つになっています。空に浮かんでいる誰もが見る雲でも、よくわかっていないことが多いのです。