福島真人:これはまずインドネシアにおけるイスラームの位置と、クルアーンを「よむ」という言葉の意味の二つに関係します。まず昔から知られていることですが、インドネシア(特にジャワ)ではムスリムの度合いに強弱があり、いわゆる名目上のそれ(いわゆるアバンガン)の比率がかなりあるという点。こうした人々はそもそもそれほどクルアーンに興味がない。他方、イスラームに熱心なグループ(サントリ)系でも、クルアーンをアラビア語で自由に読んで理解できるというのはかなりその専門教育を受けた連中で、そうでない信者がやることはアラビア語を朗誦するということ。これは教育熱心なサントリ系なら子供たちにやらせています。クルアーンの聖なる言葉を読んで朗誦できる、というのはそれを文法的に理解できるという意味ではありません。朗誦できるということが、あるレベルでの社会的意味を持つわけで、その詳しい内容については、専門家(ウラマー)の解説を聞いたり、本を読めばいいわけです。(Read more)