川原繁人:第二言語の音声習得を専門としている先生はたくさんいらっしゃいますので、そのような先生を差し置いて私が何かを言うのもためらわれるのですが、私がもっとも可能性を感じているのは、MRIで可視化された調音運動を見ながら練習するというものです。南カリフォルニア大学の研究チームが、世界で使われている言語音の多くのMRI映像を公開しています。これらの動画をみると、具体的に舌をどのように動かしたら良いのかを理解しやすいのでは……と思っています。自著で恐縮ですが、『ビジュアル音声学』の中でMRI画像を用いて音声学の仕組みを解説したところ、実際に英語を教えている先生からも高評価を頂きました。
また、完全なバイリンガルでなければ、母国語の影響はどうしたって残るものです。それはそれとして受け止めて、あまり気にすることなく楽しく第二言語で話すことが上達への近道であると個人的には思っています。
これは私の個人的な経験ですが。アメリカに行ってみると、実際にはいろいろな英語を話す人がいるので、多少日本語なまりでもone of
themなわけですから、あまり気にならくなります。そうやって話しているうちに上手になっていくのが理想かもしれません。