Jun Mukai:そもそもプログラマー大失業時代なんでくるんでしょうか。自分は怪しいなと思ってますね。来るとしてもかなり先のことではないでしょうか。
現在のLLMはかなり賢いですが、それでも非常に限定されたことについて、特定してプロンプトを組み立てないとうまく回答は得られませんし、回答の良し悪しを判断するにはそれなりの専門知識が必要になります。なんらかの専門家は生き残るでしょう。
また現状ではLLMはサーバ側に存在しているので、AIに推論させるためには企業は自分のデータを提供しないと使えません。データポリシーからそんなことはできないケースもありますし、データが膨大だったりテキストデータでないといったことからLLMにそのままは与えられないこともあるでしょう。データパイプラインの整備とか、細々としたオペレーションは必要になると思いますね。
もちろん今後の発展によりローカルで(または自社環境で)動作する十分に賢いLLMは登場するでしょうし、それによって個々人の生産性が向上することで必要な人員数は減り、失業することはあるかもしれません。単純作業のプログラマーは失業するかもしれません。でもプログラマーというか、ソフトウェア技術者の仕事がAIに完全に代替されるまで行きつくのは相当未来のことではないかな、とわたしは甘く見ています。
それよりは、ソフトウェア技術者としての能力を高め、また同時にプロンプトエンジニアリングをまなんで効率的にAIを使えるようにしておくといったことが必要になるのかな、と思っています。ソフトウェアの発達で技術者の仕事内容が変わっていく、みたいなことはこの業界ではよくあることではないかなあと思いますし、どういうふうに変わっていくのかな、というほうに興味を感じます。
まあそういう目論見がぜんぶはずれて大失業時代が本当に到来して自分も失業することは全くないとは言えません。でもそれを言ったら大部分のホワイトカラー職も同様なので、プログラマーに限らない社会的な大失業時代になるはずです。その場合にはどうするか? 大量の失業者と同様に右往左往しそうですね。自分には実家の家業というものはないので、細々と糊口をしのぐためにほかの業種をさがしたりするんじゃないかな。しかし、そんな時代になって粛々と大部分のホワイトカラーを露頭に迷わせるような社会にはならないんじゃないかなぁ。
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ところで、以前そういえば友人と話していて、AI技術の進化によってソフトウェア開発で人間がコードを書くことが基本的にはなくなることはあるかもしれない、そういう時ぼくらはどうするべきなんだろうか?という話をしていたことがあります。
しかし人間がコードを全く書かなくなることはないんじゃないか。コンピュータのほうが人間より圧倒的に強くなっても、人々はチェスやリバーシや将棋をやるし、なかにはプロ選手として生計をたてる人もいる。同様に普段利用するソフトウェアはもっぱらAIがコードを書くとしても、プログラミングによって生計をたてられる人はいるのではないか。それはどちらかというと今のソフトウェア開発者というよりはトップ競技プログラマとか、youtubeでライブコーディングを公開している人、解説動画を配信している人、などなど……そういう業態になるかもしれません。残念ながら自分は競技プログラミングは苦手なので、そうなっちゃうとつらいんですけれど。