加納 学:質問者さんは,特に研究の進捗や業績などについて他者と比較してしまうのかもしれません.でも,一般に,研究に限らず,運動でも,勉強でも,趣味でも,つい他者と比較して喜んだり落ち込んだりするものだと思います.
その理由のひとつに,自分自身に自信が持てていないというのがあると思います.自分の研究に自信があれば,他者と比較する必要はありませんよね.「おっ,君も良い研究しているね!」でいいわけです.質問者さんは,本当に自分がしたい研究をしていますか,何が何でもやり遂げたいテーマに取り組んでいますか.もしそれがでているなら,他者と比較する気はなくなるのではないでしょうか.もちろん,人間はおおよそ欲深い生き物なので,褒められたいと思うのは当然です.研究なら,研究費も獲りたいし,賞も獲りたい.そう思うのは当然です.でも,それらは他人の評価に依存します.自分ではどうしようもないことが多いです.
ローマ帝国の賢帝マルクス・アウレリウス・アントニヌスはこんなことを書き残しています.「名誉を愛する者は自分の幸福は他人の中にあると思い,享楽を愛する者は自分の感情の中にあると思うが,もののわかった人間は自分の行動の中にあると思うのである」と.私の座右の銘です.
一度しかない人生ですから,研究を全力で楽しんでください!