粟田知穂:現在の日本国憲法を前提とすれば、「社会制度設計として近い」のは明らかに前者(「敵と認識するものをコントロールすることを重視している」)であろうと思います。先に平和主義を掲げることで、攻撃しようとする敵が世界の中で絶対的悪者になるという構図を作っているからです。国力を経済に集中させ、それを他国と共有することで友好的な関係を維持するという戦後の歴史もそれを示しています。
ただ、国民性としては、後者(「攻撃をすることを重視している」)の疑いもなお残ります。世界を相手に戦争したという80年前の歴史もそうですし、地政学的理由等からグローバルな視点を欠きがちであったり外交力が弱かったりということも影響しているかもしれません。社会内で生起する様々な事象から、「異質なものを排除したがる」「自分より弱いと見た相手を攻撃したがる」といった日本社会の気質を読み取る方もいるでしょう。
現在の世界情勢を前提とすれば、お示しの2択のうちでは前者が国益に資することは明らかでしょう。ウクライナ情勢にも学び、他国に攻撃の口実を与えないような状況を維持し続けることが最も重要な視点であるように思われます。