勤労の義務を憲法に入れたのは社会党だったと言われているそうです。社会主義・共産主義では資本家は「不労所得」を得る好ましくない存在と考えられています。つまりこの義務を入れることで日本から不労所得を得る好ましからざる階層を抑制しようとしました。
経緯をまとめた人がいて出典もついています。興味がある人はぜひ読んでみるといいでしょう。
残すべきかについては人によって意見はさまざまだと思いますが、そもそもの趣旨を間違って理解してしまうとその後の議論には支障が出ます、まずは出発点は正確に押さえておくべきでしょう。
「憲法は国家権力の暴走を阻止する」という言い方は左派によって盛んに喧伝されています。左派は戦後の日本で政権を担当する機会があまりなく政治権力を抑制する側に回ることが多かったため少し歪められていると思います。
憲法は国民主権を基点にしています。複雑な国家を直接民主主義で運営することはできませんから必要な権限を必要な人に委託できるようになっています。この委託プロセスを定めたのが憲法です。必ずしも国家権力と国民を対置して対立を煽って牽制しているわけではありません。
GHQの原文を読むと「一部の人たち(the part of the people)」が権力濫用することを警戒しているだけで、権力者という存在を国民に対置しているわけではありません。そもそも権力者を国民から分離する「封建主義」を敵視している憲法草案なので新憲法下で権力者という階層を分離した憲法を書くはずもないわけです。
1 year ago