むらやん:あまりこの辺りのことは存じませんのであくまで想像ですが、「腕利きのレコーディングエンジニアが多いから、あるいは渡米した日本人レコーディングエンジニアが居るから」というのはありそうですね。 こちらの記事が読み応えありますので置いておきます。 https://www.musicman.co.jp/interview/19830 エンジニアのみならず作曲家や演奏家にも通じるお言葉がありましたので、こちらから抜粋します。 > 今はProToolsの一式を買ってしまえば、「あなたも明日からレコーディング・エンジニア」という時代になって、エンジニアになりたい人たちは以前よりもプレッシャーというか苦労は少ないと思うんですが、色々な意味で学んでいないと思うんです。「サンレコ」や「プロサウンド」から学べることは限られているので、やはり今良いとされている、もしくはベテランでずっと残っている人たちの芸を盗むというのが、僕はエンジニアリングの基本だと思うんです。そこからスタイルというのは自ずと生まれてきます。

菅野 由弘:「音が違う」というのが、一番の理由だと思います。もちろん、「かっこいい」とか、「スタジオ代が安い」という事情も有ります。が、何と言っても、エンジニアによって音が変わる、ここがポイントです。このことは、演奏家と同じです。いわゆる大型のスタジオの調整卓は、たいていSSL(英国製）ですし、マイクロフォンなども、世界中どこに行っても優れた機材を使っています。スタジオや、エンジニアによって、Neumann、Shure、AKGといったマイクを駆使して音作りをして行きますし、楽器や演奏家によっても変えています。私たち作曲家の側から「もう少し、マイルドにして欲しい」などの要望を出すと、マイクを替えたりします。 そして、録音システムは、ほとんどProToolsか、Sequoia、Nuendoなどですので、これも、地域差は余りありません。何と言っても、エンジニアの耳の違いと、スタジオの建築物としての響きの違いがあるので、文字通り「音が変わる」、「どこ」のスタジオで、「誰」に録って貰うかで、音楽のテイストが変わる、それを求めて､スタジオを決める､即ち音楽的な目的なのです。 私の友人のミキサーさんで、ロサンジェルスのスタジオなどからお声がかかり、録りに出かける人がいます。この場合は、箱ではなくて、日本的「耳」のテイストが欲しいのだと思います。 1つ、私の経験ですが、アリゾナのスタジオでレコーディングしたことがありました。日本に比べて、スタジオ代が安い。つまり地価が安いので、それなりのお値段。しかも、広々とした、平屋建てのスタジオが広い敷地の中に点在していて、副調整室では皆で、テーブルを囲んでランチが出来る。そういう環境だと、音楽も大きくなります。