彩恵りり🧚♀️科学ライター✨おしごと募集中:これは非常にややこしいところなんだけど、実は "力そのもの"
にエネルギーは無関係だよ。もし力を発生させることにエネルギーが関係しているなら、天体の重力は時間経過とともにどんどん減り、原子も電磁気力を失って壊れてしまうことになるよ。では、力が半永久的にみえるものと維持が必要なのとの違いは、最終的には力からエネルギーを取り出す際の違いによるものだよ。
一番わかりやすいのは重力だね。重力は質量によって発生するので、質量が変化しない限りこの値も変化しないよ。例えば地球上でモノを高い位置から落とす、ということを考えても、モノの位置エネルギーが運動エネルギーへと変化するからモノは落下しているだけに過ぎず、重力自体はいかなるエネルギーの放出や吸収もしてないよ。では重力は真には何をしているのか?位置エというポテンシャルを定めるための場を提供しているんだよね。ポテンシャルがないと、位置エネルギーの違いというものが生まれず、従ってその差分を変換して落下という運動エネルギーが発生することもないよ。
永久磁石による磁力もこれと似ているよ。磁力によって鉄が引き寄せられるのは、位置の高い位置にあるモノが重力によって落下するのと同じで、ポテンシャルが高い状態から低い状態へと移動するというのを観ているよ。ただし、磁力の正体は重力ほどシンプルじゃないのが少し厄介だよ。正確には電子が持つスピンという性質によって定義づけられるんだけど、より平たく言えば
"鉄のような一部の原子が持つ特殊な性質"
によるものだよ。そして永久磁石が強力になるには、個々の原子が放出する磁力の向きが揃っていないといけないよ。普通なら、電流などの別の力を与えない限りはこの揃った状態は維持できず、テンでバラバラになるので、極めて弱い磁場にしかならないよ。これはいわゆる電磁石と呼ばれるものだね。一方で永久磁石の場合は、原子の磁力の向きを固定する別の原子の存在によって磁力が
"永久" になるよ。パズルのピースがうまく噛み合ってるようなもので、これの維持には外部エネルギーは不要なので、永久磁石というものが生まれるよ。
ところで、磁石と似ているけど基本的に維持が必要なものとしては電流があるよね。ただ、電流というのは名前の通り "流れ"
であることが磁石との大きな違いだよ。電流は電子の流れによって生まれるものであり、通常の物質では多かれ少なかれ存在する電気抵抗によって流れが妨げられてしまうよ。このため、電流は流し続けない限り失われてしまうものであり、電流は失われる力であると勘違いされてしまうんだよ。例外は超伝導体であり、ここでは電流は失われないので永久電流というものが存在できるよ。
ただ、電流は失われる力であるというイメージは、電流によって電気エネルギーを得ようとする仕組みの問題に起因しているとも言えるよ。電流からエネルギーを得るのは、重力によって発生する水流から水車を使ってエネルギーを得るのと本質的に変わらないよ。水流は川底との摩擦や水車への衝突で減速するし、どこかで底に達してそれ以上流れなくなってしまうよね。ではそこで重力が消えているのかと言えば違うよね?これと同じように、電流はエネルギーを取り出すことによって少しずつ失われてしまうけど、それは力が失われているのではなく、単にエネルギーが変換の末に失われてしまっただけに過ぎないんだよ。