小川仁志:こちらこそありがとうございます。そういっていただけると勇気づけられます。そう、人生には勇気が必要なんでしょうね。新しいことにチャレンジする時や、抜擢された時には、勇気がいります。自分にできるかなとか、人から妬まれないかなというプレッシャーと闘わなければならないからです。では勇気とは何か？　フランスの哲学者アランは、『定義集』（岩波文庫）の中でこんなふうにいっています。「勇気は慎重さと手を組んで、怒りなしで見事にやって行く」と。ここには勇気というものに必要なすべてが書かれているように思います。慎重さ、怒りがないこと、そして見事にやることです。勇気と無謀は異なるということは、古代ギリシアの哲学者アリストテレスも論じていました。人間というのは、チャレンジする存在なのだと思います。でも、その時必要なのは、ただチャレンジすることではなく、真摯に向き合うことなのだと思うのです。そのためには、慎重になること、そして冷静になることが必要です。興奮したまま突っ込んでいくと、おそらく痛い目に遭うでしょう。これは私の人生経験からもいえることです。きっと抜擢されて浮かれていたのだと思います。その意味で、今躊躇されているのは素晴らしいことだと思います。その躊躇が真の勇気をもたらすはずです。ぜひ怖気づきながら、見事に前に進んでください。応援しています！