綾崎隼:変化しました。
より正確に言うと、新人賞への投稿を始めた段階から変わり始めて、実際に小説家になってから、もう一段階変わった感じです。
十代までは、自分の好きなジャンルの本、好きな作家の本ばかり読んでいました。ただ、それでは知見が広がらないと思い、名前を知っているけど読んだことのない作家の本、興味がないジャンルだけれど売れている本を、勉強のために読むようになりました。
触れてみると意外と楽しめるなと思うこともありましたが、基本的には、やっぱりこのジャンルは自分に合わないなと感じることの方が多かったです。ただ、何故、自分はこの本を楽しめないのだろうと考えるようになったことで、自分が<面白いと感じるもの>、自分が<小説で書きたいもの>を、少しずつ言語化出来るようになっていきました。
肌に合わないものとも向き合うことで、それまで漠然と読んだり書いていたものを捉えられるようになったというか。
全員に面白いと思ってもらう小説を書くことは不可能なので。自分が好きなものを尖らせて、それを同じように好きだと思って下さる方に届けたいと思っています。