竹井邦晴:世界的なインフレ及び円安により仰る通り海外出張でのホテル代などで自己負担になってしまうことが多々あります。これは国が決めている公務員の出張宿泊費を現実に見合った額に改正してくれないとどうしようもありません。ただしこの少額の負担等の問題はそんなに大きいものではないと思っています。 一番日本の技術力を上げるのに重要なのは人材だと思っています。残念ながら日本の大学教員、研究者の給与は欧米諸国に比べて非常に少ないのが現状です。また着任時に研究環境を整えるスタートアップ費用も非常に少ないです。このような状況では海外から優秀な人を連れてくることは到底不可能です。優秀な人材育成はやはり優秀な人から教わることが一番近道です。そして育った優秀な人材により、次の優秀な人材が育っていきます。これが人材育成の理想的な構造だと思います。しかし日本はこのインフレの状況においても海外のように給与を上げれないため、優秀な人を雇用できず優秀な人材も育ちづらい、それにより技術力が低下していくといった負のスパイラルに陥っているのではないかと危惧しています。本意見については恐らく賛否両論あり、批判を恐れずに私の意見を記載しました。 先日、名古屋大学が既存の給与体制を壊したような給与額(2000-3000万円)を世界的に活躍している優秀な若手研究者に支給するといった発表がありました。私はこの制度は素晴らしく、そして他大学も同じような制度を作ってくれることを期待しています。(Read more)
Tomyuki Yokota:旅費の上限に関しては、ご指摘の通りだと私も感じております。例えば、アメリカで開催される国際学会などに参加すると、ホテル代が上限値の2倍近くなることも多くございます。 私の所属している東京大学では、理由書などを出すことで上限を超えての支出も可能となっておりますが、それでも研究費への負担は大きいと思い、私自身は知り合いと部屋をシェアして限度内におさめるようにしております。 現在は大学も国立大学法人となっておりますので、ある程度独自に上限値などの見直しを大学全体として行っていく必要性があるのではないかと思います。(Read more)