積惟美:税制は難しいですよね。念の為一度確認させていただくと、住民税の調整控除は、国税である所得税から地方税である住民税への税源移譲に伴い、両税制の人的控除の差により税負担が増えすぎないようにするものかです。税源移譲は、税源移譲によって、国か
ら地方へ税源が移り、地方の自由度が増す財源が確保され、地方はよりよい行政サービスができるようになるという名目で行われています。
さて、なぜそもそも人的控除の差がないような税制にしていないのかといいますと、国税である所得税と地方税である住民税では目的や性質が異なるからというのが費等の理由だと思われます。住民税は教育や消防活動、ゴミの処理などの生活に身近な行政サービスを維持するために徴収される税であり、「地域社会の会費」という性質があります。地域税である住民税は十分かつ安定的な行政サービスを維持するために豊富な財源が必要になりますが、国税である所得税に比べて納める人数が少ないです。そのため、所得税に比べて控除額が少なくなることが認められています。したがって、目的や性質の違いから基礎控除を統一することは租税において重要な公平性を維持しつつ、その目的を達成するためには現状難しいと考えられます。
ただ、統一しないことによって租税3原則の「簡素の原則」は損なわれているような気がしないでもないので、今後税のIT化や税制改正が進められるなかで統一される可能性もなきしもあらずかもしれません。