大谷栄治:桜島や富士山などの活火山の噴火の兆候の観測は,気象庁の地震火山部の重要な仕事です(1).そこで火山の活動がモニターされ,危険な兆候があれば,国や地方自治体に連絡されることになっています.また,地方自治体によって,ハザードマップが作られています.桜島の場合には鹿児島市によってつくられています(2).このハザードマップにあるように桜島の火口付近の半径2km以内の危険な場所は,立ち入り禁止区域となっています.それ以外の場所でもハザードマップにより,噴火の兆候があれば,その切迫の程度によって避難勧告が出されます.噴火の兆候の観測は,福岡管区気象台・鹿児島地方気象台によって行われ,傾斜計及び伸縮計で、山体膨張を示すわずかな地殻変動などがモニターされ異常があれば,地方自治体に連絡され,噴火警報や予報がだされることになっています.
富士山の場合も静岡県,山梨県,神奈川県など複数の関連自治体がハザードマップを作っています(3,4).富士山の火山活動のモニターは気象庁の地震火山部の火山監視・警報センターが行っています.活火山のある地域では,火山活動の状況や災害の危険について,火山の専門家などによって予測されており,それにもとづいて立ち入り禁止などの法的な規制が行われています.しかし,火山現象は,それぞれの地域で個性があり,火山噴火の予測はまだ地震現象に比べても不十分で不確かな点が多いのが現状です.そのため,現在の規制やハザードマップも完璧なものではなく,定期的に新しい火山研究の成果を取り入れて改訂する必要があります.
参考文献:
(1) https://www.data.jma.go.jp/vois/data/tokyo/volcano.html
(2)
https://www.city.kagoshima.lg.jp/kikikanri/kurashi/bosai/bosai/map/sakurajima.html
(3) https://www.pref.shizuoka.jp/bousai/documents/kaiteinitsuite.pdf
(4) https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/hazardmap.html