金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ:何らかの言動が禁止されるべきかどうかは、その社会が決める問題です。言い換えると、ご質問の件は、日本は特定の人々への差別を扇動するような社会であってもかまわないかどうか、という問題です。
マジョリティ(普通の人々)にとっては、「特定の人々への差別扇動を許容するような社会」といわれても、具体的にどういう被害なのか想像できず、したがってどういう状況なのかピンとこないかもしれませんが、属性や信条によって理不尽な攻撃にさらされることを防げないというわけですから、あらゆる人々が何らかの形で理不尽な差別にさらされるリスクがある社会だということになります。ただマイノリティだけが困るわけではありません。
社会学では、このような社会を「排除型社会」と呼びます。こういう社会状況では、お互いに信頼に基づく助け合いが希薄化し、不安と警戒心が高じて、目立つ人々を排除していくようになります。あなたは、日本がそういう状況になって大丈夫でしょうか?
といっても、じつをいえば、日本はすでに、排除型社会に突入している、というのが多くの社会学者の共通見解でしょう。ヘイトスピーチが禁止されるかどうかというご質問ですが、むしろ問われるべきは、日本が信頼と絆を失って崩壊していく趨勢を許容できるかどうか、という問題だと思われます。
そう考えると、ご質問の件についても、解答は自明ではないでしょうか。