横田有為:地球内部で生成される単結晶の大きさに比べると人工的に作製された単結晶のサイズは遠く及びません。
ギネスブックには、Largest single crystal on
Earthの名称で、地球上で最大の単結晶が掲載されていますが、そこには、地球の内核を構成している鉄の球体が単結晶であり、直径約2442km、重さ約1億トン(月の約4/3の大きさ)と記載されています。
*下記リンク先で「single crystal」と入力すれば確認できます。
https://www.guinnessworldrecords.jp/search?term=%2A
ただし、これは実際に単結晶であることが確認されたわけではなく、地震波を調べた結果から推察されています。
実際に確認された天然の巨大単結晶として知られているのは、メキシコで発見されたセレナイト結晶で、長さ11メートル、直径4メートル、重さ55トンもの大きさを持つものが見つかったとのことです。また、振動子としてパソコン等に利用されている水晶は、天然で約40トンもの巨大結晶が確認されています。
一方で、人工的に作製された単結晶は、大きくても数十センチ程度の直径です。工業製品として利用されている人工結晶は、より効率的な生産方法で、その後の加工工程も考慮に入れてそのサイズが決められており、例えば人工水晶では年間の生産量は2000トンにも及ぶと言われています。太陽光発電に用いられているシリコンの単結晶は、30cm程度の直径を有するものが引き上げ法によって生産されている他、半導体の基板などに用いられているサファイア単結晶はTSMG法やキロポーラス法などで20~30cm程度の直径、50~100kg程度の単結晶が製造されています。