大学名誉教授野田:やはり、第一段ロケットの軟着陸による回収でしょうか。それまでも、ブースターの海上回収再利用などの技術はありましたが、軟着陸回収と再利用はコスト削減に大きく寄与しています。アメリカの宇宙開発は軍とNASAが担当していましたが、その多くを民間に変えました。その裏では、蓄積した技術の民間への移転が大きく寄与しています。もちろん、この流れは米国政府の方針によるものです。民間が独自に開始しても膨大な開発予算と長い開発期間が必要だったはずで、こんなに素早く成功するはずは無かったと思われます。アメリカの技術の蓄積はすさまじく、軟着陸にしてもアポロ宇宙船の月着陸と月からの離陸を見れば分かるように長い経験があります。さらに、民間企業の持つ素早い開発手法でしょう。失敗の連続でも、その原因を一つずつ潰して前進しています。最初の頃は軟着陸もことごとく失敗していましたが、今ではかなり安定した技術になってます。そして、民間ならではのコスト意識です。60億円ぐらいで打ち上げているとのことで、H3ロケットがめざしていることを既に実現しています。ただ、他の国が追いつけないというのは悲観的すぎで、今までのアドバンテージで到達した技術に追いつけば、その先の技術開発はやり方次第では良い競争になる可能性があるのではないかと思っています。