高橋賢:税理士試験で比較的高い年代の合格者が多いというのは,一発勝負の公認会計士試験と違い,科目合格を積み重ねることで資格が取れるということに起因しています。働きながら科目合格を積み重ねて資格を取ると言うことが可能です。このような性格から,仕事に就いていても途中で資格を取るという方向転換が会計士よりもやりやすいということがいえます。
私は,若いときから試験勉強一本に絞って会計士試験に合格し,そのまま職業会計人になるという進路は,あまり好ましいとは思っていません。実際に会社勤め等をやってみて,人や情報やカネの動きというのを体感した人が職業会計人になった方が,よりよい業務ができると思っているからです。その意味では,会計人以外の経験を積んだ人が職業会計人になると言うことはとてもいいことだと思っています。
今ひとつ質問者の意図がわからないのですが,税理士に比較的高齢な人が多いということはさほど問題ではないと思っています。なぜ税理士が高齢層なのが納税者側に立った課税体制の妨げになるのかわかりません。現在も現役で税理士をやっている人たちは,制度変更などをキャッチアップされているはずなので,問題はないと思います。現在の税理士の仕事は,会計ソフトの発達と浸透により,以前のような単純な記帳代行や税の申告の代行という部分は相対的に低下しています。今税理士に求められている大きな仕事の1つは,後継者不足に悩む中小企業の事業承継のアシストです。そのような仕事では,深い業務経験と人脈が必要とされます。その意味では,ベテランの税理士さんの方がその方面では活躍できると思います。