Anonymous:言語の歴史的変化の一般的傾向として,よりシンプルなものに移行するということがあり,他言語との言語接触がなくても,その言語コミュニティ内でより効率的な言語使用を求めてそう変化するのだと思います.昔の日本語には係り結びがありましたが,現在は消失している等です.最近の「了解しました」→「り」等は定着することはないでしょうが,やはり無駄を省いて効率化するという力が働いています.
英語の音声変化については,15世紀頃に起きた大母音推移という現象が有名ですが(英語ほど発音と綴りが一致しない言語はないと言われるのはこれが原因です),これもより楽な発音をしようとしたこともその一因であるように思います.knifeは現在はナイフですが昔はクニーフェでした.ナイフのほうが発音が楽ですね.日本語でも,古い映画やTVドラマなどを観ると昔は今よりハキハキと発音していたと感じますが,逆に言えばだらしない発音のほうが楽だということでしょう.
質問者様が「英語では逆を行っている」と言われるのは,国や地方によって発音に多様性があるということを指しておられるでしょうか.その場合は同じ日本語でも方言によってずいぶん発音が違うということと同じように考えられるでしょう.つまり,仲間うちで特定の話し方を共有することで,それとは違う話し方をするよそ者を見分け,排除することができます.言語には特定集団の身分証明書のような機能もあり,それゆえ言語多様性が生まれます.業界用語や若者言葉も同様です.世界中の人々が同じ1つの言語を話せればいいのにとも思いますが,このような理由で絶対にそうはならないと思います.