田口善弘@中央大学:誰も答えていないのでちょっと答えてみます。
「発光生物の光る仕組みとその利用」
という記事にはこんな記述があります。
「生物発光による個体イメージングの多くはルシフェラー ゼ遺伝子を導入した細胞株(悪性腫瘍など)を作製しヌー ドマウスの生体表層部(皮下や脳など)へ移植した後,腫
瘍細胞の増殖を追跡する際に使われている。図 5B はホタ ルルシフェラーゼが発現する乳がん細胞のマウス個体内で の増殖を観察した例である 」
つまり、原理的には哺乳類が発光することに生物学的な問題はなく、原理的には可能だということが解ります。一方、こんな記述があります。
「多くの研究者がホタルの発光の仕組みを理解したことで 生物発光を理解したと思いがちであるが,生物発光はもっ と多様な仕組みであり,進化的に繋がった仕組みでない点
が重要なポイントである。ホタルの生物発光は発光甲虫特 有の仕組みであり,多くの生物発光は未解明なままであ る」
つまり「光る」という機能は決して同じ原理に基づくものではなく、多くの生物が独自に(ばらばらに)獲得した機能に過ぎない。ということです。進化ではこういうことはよくおきます。イカと人間の眼球がよく似た構造を持っていることは有名ですが、でも「なぜ、昆虫には『眼球』がないのですか?」という疑問を持つ人は少ないです。
つまるところ生物がいろいろな機能をいろいろに進化させたとき、それを人間が俯瞰的にみて「なぜこの機能はこことここの分類群にはあるのに、こことここの分類分にはないのだろう?」という疑問を持つことはいつでも可能で「光る」という機能は仕組みが全然ばらばらなのに、「光る」という結果がとても目立ち、そこそこ広い分類群に見られるので、ご質問のような疑問が出てくる、というだけなのではないでしょうか?(つまり、単なる偶然で何かしら奥深い理由が背後にあるわけではない)
勿論、これはあくまで現在の科学の理解の範囲であっていつか科学が進歩してあなたの疑問に答えるような進化的な理由があることが解ることがけっしてありえないとは言えないとは思いますけど。
(そもそも、上で引用した記事を書かれた方がmondにおられる
生物発光科学者(近江谷) | Mond
のでいつかその方のお返事がみられるかもしれませんが)