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慶應義塾大学言語文化研究所教授。専門は言語学、特に音声学・音韻論。教養学士(International Christian University, 2002)、言語学博士(University of Massachusetts, Amherst, 2007)。University of GeorgiaおよびRutgers Universityで教鞭を執った後、慶應義塾大学に移籍。現在、教授。音声学会奨励賞(2015年、2023年)、慶應義塾大学義塾賞(2022年)。著書に『音とことばのふしぎな世界(2015年,岩波)』『「あ」は「い」より大きい!?(2017年,ひつじ書房)』『ビジュアル音声学(2018年,三省堂)』『フリースタイル言語学(2022年,大和書房)』『音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む(2022年,朝日出版社)』『なぜ、おかしの名前はパピプペポが多いのか? 言語学者、小学生の質問に本気で答える(2023年、ディスカバー21)』『言語学的ラップの世界(2023年,東京書籍)』『絵本 うたうからだのふしぎ(2024年、講談社、共著)』『日本語の秘密(2024年、講談社現代新書)』など。国際学術雑誌編集責任者歴任。 ウェブサイト:http://user.keio.ac.jp/~kawahara/index.html 2023年11月:みなさまからたくさんの質問を頂いておりますが、下書きがたまっており、毎月の回答数制限のため、お返事に時間がかかることが予想されます。辛抱強くお待ち頂きますようお願い申しあげます。

非常に難しい質問ですが、私の専門とする音声に限っていえば、音同士の近似性を物理的な尺度を用いて計算することは十分可能ですし、さまざまな試みがなされてきました。簡単な尺度でいえば、母音を特徴づける音響尺度に、第一フォルマントと第二フォルマントというものがあるのですが、ふたつの母音の距離は、第一フォルマントと第二フォルマントに基づいたユークリッド距離で定義することができます。もちろん、音響信号全体の特性に基づいて距離を計算することも可能です。ただし、こうなると計算もかなり複雑になりますし、人間の耳が音響信号のすべてを聞いているわけではないので、労力に見合った結果がでるかは微妙ですが。

また、言語同士の近似性となると、かなり複雑な要素が絡まってくるので、そうとう難しいと思います。それが単語レベル、文レベルとなると考慮しなければならない要素が多すぎて(言語同士で何が何に対応しているのかすら難しいですからね……)、客観的な指標というものを得ることはかなり難しいでしょう。

ただし、言語類型論という言語の比較を専門とする学問では、一定の抽象化をおこなったのちに言語のある特性を比較するという方法は提唱されているようです。私の専門とする分野でこの手法を用いたのはこの論文ですかね。かなり有名になりました。

1 year ago

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