津田賢一 (Kenichi Tsuda):母親の胎内にいる間に既にある種の微生物に暴露されているという報告もありますし、出生の際に母親の膣口に常在している微生物に大量に暴露されます。つまり生まれた時点で人体は無数の微生物に感染し、ある種の微生物は人体に定着します。成長に従って、大気中や水中などの環境、そして食べ物に含まれる微生物がさらに感染します。洗剤を使って体を洗った場合皮膚などに常在する微生物は失われますが、数時間するとまた再び感染するようです。つまり、人体に定着する微生物は一定ではなく常に外的、内的要因によって変化すると考えられます。微生物の実験をしたことがあれば分かりますが、世界は微生物で溢れています。微生物を培養するプレートなどの蓋を開けておくと微生物の増殖が簡単に見られます。しかもこのように培養可能な微生物は全体の1%ほどと考えられています。人は常に微生物と共存しているといえるかと思います。
ヒトなどの動物と同じように微生物も進化します。また微生物は遺伝子の交換が頻繁に起こることも知られています。DNAへの変異に基づく進化に加え、遺伝子交換も進化に重要であるといえるかと思います。