野尻伸一💉💉💉💉💉(ο)(ハッパ):私の場合は F(R)
重力などの修正重力理論の論文がよく引用されていますが、元々は場の理論の研究をしていたので、引用数は少ないですが、下記の論文には思い入れがあります。
1. 一つは私の博士論文になっていますが、
doi:10.1143/PTP.74.819
です。離散的な格子上でも連続な並進が定義できることを見つけ、それを使って格子上の超対称性を持つ場の理論を構成したものです。
2. P. Horava, が繰り込み可能と考えられる量子重力の候補を提案しましたが(Phys. Rev. D 79, 084008 (2009)
[arXiv:0901.3775
[hep-th])、この模型ではローレンツ対称性が陽に壊れています。そこで、元々はローレンツ対称性を持つけれども、その対称性を自発的に破るような模型を提案しました。
doi:10.1016/j.physletb.2011.05.025 [arXiv:1104.4286 [hep-th]]
この模型はやや複雑に見えますが、量子論的なユニタリー性を保つことはおそらく可能で、古典解の中にはミンコフスキー時空の他に宇宙の加速膨張を表すド-ジッター時空も解になっていることが分かります。
3.
宇宙項と冷たい暗黒物質からなる標準宇宙模型は、現在いろいろなテンションが見つかってはいますが、観測と明らかな矛盾はありません。ただ理論的にはいわゆる微調整問題等があり、この問題を解決するために位相的場の理論を使った模型を提案しました。
doi:10.1142/S0217732316502138 [arXiv:1601.02203 [hep-th]].
この模型では繰り込みから来る微調整問題については初期条件の微調整問題に置き換えることができます。また、この模型は無限個の BRS
対称性を持っていますが、解を一つだけ選ぶと一つのBRS対称性を除き自発的に破れます。