田口善弘＠中央大学:これは回答が難しいので、どうしようかと思っていたのですが、回答リクエストを受けてしまったのでお答えします。 まず、現場の状況（というほど産業応用の現状に精通はしていませんが）、「データサイエンティストのような統計学を専門として働く職」の場合、いわゆる「ドメイン知識」が重要なステージに今は移行していると思います。統計のしっかりとした基礎能力、最先端の機械学習をキャッチアップする能力に加えて、課題を正しく理解する能力。この３つが備わっていないと「データサイエンティストのような統計学を専門として働く職」は難しい段階に達しています。なので、「今後、どの分野でデータサイエンティストが珍重されるか」の判断が重要になります。 わかりやすいところだと、多分、創薬分野は「統計」「機械学習」「ドメイン知識」の３つを持っている人が活躍しやすい分野になると思います。数学と計算機と生物学すべてに精通することは難しく、参入障壁が高いからです。実際、創薬分野では、日本企業としては珍しく、博士号取得者の雇用が増えています。 なので、僕のお勧めは、単に統計や機械学習の分野で選ぶのではなく、ドメインに於いて統計や機械学習を用いて結果を出している研究室に進まれることです。これだったらＤ進してもしっかりした就職先が望めるでしょう。また、この様な分野で鍛えられれば仮に分野が廃れても「ドメイン知識」部分を入れ替えることで生き残りは可能です。言っていることがちょっと矛盾している様に感じられるかもしれませんが「統計」「機械学習」「ドメイン知識」のうち、もっとも入れ替え（学び直し）が容易なのは最後の「ドメイン知識」なので。古い言い回しでいれば「潰しが効く人材」ということですね。 それでは健闘を祈ります。