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ご質問ありがとうございます。

「YouTubeなどの動画」ということですが、それはどのくらい自分の注意を奪う動画なんでしょう。たとえば「QuizKnockと学ぼう」というチャンネルでは「僕たちといっしょに一時間集中しよう」というものがあります。「勉強動画」とでもいうのでしょうか。人がいて集中して勉強するようすがただ流れている動画になります。そういうのではあなたの要求は満たせないんでしょうか。

「QuizKnockと学ぼう」https://www.youtube.com/channel/UCuG5vlhQYE5VE-pTTxINi3g

私自身は執筆しているときに動画を流すというのはありえないです。気が散ってしかたがないからですし、作業に対する満足度がまったく違います。自分の思考のリソースを「注ぎ込む」という感覚で仕事をしているので、気を散らすものは極力排除したいです。

他の人が集中している様子というのはあまり観察したことがないので何ともいえませんが、たとえばテレビを見ながら知的作業をする人というのは知りません。繰り返しが多い手作業、たとえば編み物のようなものをするときにちらちら動画を見ながらというのはありそうですけれど。

そういえば作業とは関係ありませんが「家に帰ってくるとすぐにテレビをつける人の話」はときどき聞きます。自分が見るか見ないかはさておき、とにかくテレビを常時つけていて、何かの映像と音が流れていないと落ち着かない人というのはいるらしいです。それが本人の性格なのか、それとも単なる習慣なのかはわかりませんけれど。

私は心理学者でもないし、精神科の医者でもないので、実際のところあなたのような状況を変化させることができるのかまではわかりません。

あなたの質問文の中で「切り込むポイント」と感じたのは「集中しようと思って動画を切ると、作業が進められない」というところですね。「動画を切って作業しようとしても進められない」というその気持ちの程度はどのくらいなのか。あなたがどの程度の強さで「進められない」と感じるかは、あなたにしかわかりません。

たとえば、動画を見ずにいられないのはあくまで習慣の問題だと仮定して、しばらく(たとえば一週間・一ヶ月)と「動画をあえて切る」行動を続けてみてはどうでしょうか。作業の効率は最初は落ちるかもしれませんが、もしかしたらしばらくすると変わるかもしれません。

でもそのような「動画を切って作業する」というのが「一時間ともたないし絶対に絶対にダメ」という状況ならば、もう選択肢としてはあなたのいう「折り合いをつけてやっていく」しかないでしょうね。

別の考え方としては、動画の種類です。あなたがいやなのは創造的作業のリソースを動画に食われているかもしれないということですよね。ですから冒頭に書いたような「勉強動画」すなわち、あなたのリソースをあまり食わないような動画を選択するという方法はあるかもしれません。動画の質を変えるのです。

あるいはまた、動画は流すけれど音は切る。あるいは逆に音楽のような音は流すけれど動画は流さない。そのように情報の量を絞る方法はどうでしょう。さらには、あなたが動画を見ているディスプレイは何でしょうか。大画面で流すのではなく、小さな画面でしかも遠くに置くという方法もありそうです。

すなわち、完全なゼロにするのではなく、少しでも影響を減らすという考え方をするのです。

私が思いつくのは以上です。なかなか大変かもしれませんが、実験感覚でいろいろ試してみてはどうでしょう。がんばってください。ご質問ありがとうございました。

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結城浩

EngineerWriter

本を書いて生活しています。著書は『数学ガール』『プログラマの数学』『数学文章作法』『暗号技術入門』など多数。文章を書くこと、学んだり教えたりすること、プログラミング、数学、人と人とのコミュニケーションなどに関心があります。詳しい活動内容は https://mm.hyuki.net/n/n5f00c9cd281c をご覧ください。アマゾンの著者ページは https://link.hyuki.net/amayuki にあります。なお、私は数学読み物を書いていますが、数学科出身でもありませんし、数学の研究者でもありません。2014年度の日本数学会出版賞を受賞しました。〔ゆうき・ひろし〕