粟田知穂:ツバメの巣、大変ですね。
鳥獣保護管理法は、1条で、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化を図り、もって生物の多様性の確保(生態系の保護を含む)、生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、自然環境の恵沢を享受できる国民生活の確保及び地域社会の健全な発展に資することを目的とする」としており、確かにツバメの巣の撤去についても卵やヒナがいる状態のものを行政の許可なく撤去することは禁止されているようです(8条)。
同様に、動物愛護管理法も、1条で「国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする」とされています。
人権すら脅かされている社会状況でまるで生類憐みの令のような、分かったような分からないような趣旨目的ともいえますが、鳥獣保護管理法はもともと狩猟法であったものが順次改正されており、近年は主に環境に配慮した野生動物と人との共存を目指しているようです。動物愛護管理法は主にペットの不適切な飼育や愛護動物をみだりに傷つけたりすることが取締対象となっていますが、こちらも「人と動物の共生する社会」というのがキーワードともいえます。グローバル化した資本主義社会において「人に譲ったら負け」のような空気もありますが、国民に対しては動物にも譲り合えというのがお上の発想のようです。