佐々木俊尚:スマホは、そう遠くない未来に消滅するとわたしは考えています。 デジタル情報を扱う電子デバイスは、2000年代にパソコンからスマホへと進んできました。キーボードを持ったパソコンは今後もかなり長い期間にわたって、業務のための入力デバイスとして使われ続けるのではないかと考えています。 スマホがここまで浸透したのはパソコンのような入力デバイスとしてではなく、気軽に画面や音声を見られる出力デバイスとして、家でも外出先でも、日常の生活に入り込むことができたからです。とはいえ画面が手のひらサイズのスクリーンに限定されることや、タッチ操作に習熟が必要なことなど、限界もあります。 そこで「スマホの次のUIはなにか」というのは以前から議論されてきたテーマです。今のところ有望だとされているのは、音声でのコミュニケーションとジェスチャーでしょう。前者はスマートスピーカーですでに実現し、後者はメタバース機器であるVRなどに導入されつつあります。これにChatGPTのような対話型AIの進化が重なってくると、将来的にはAIと音声やボディランゲージで対話するというUIが主流になる可能性が高いとわたしは考えています。 そのときにデバイスはどのような形状になるのか。眼鏡型やコンタクトレンズになって、そもそも手に持たずに身体と同化するのか。それともペットのようなロボット型のデバイスと対面でやりとりするようになるのか。この両方の可能性があるとは思いますが、いずれにしてもスマホではなくなっていると思います。(Read more)