千葉逸人:完備化しておかないと円周率 π やネイピア数 e すらも定義できないですよ。 円周率はもちろん円の半径と周の長さの比として定義は可能です。しかし定義するのは勝手ですが、実際にそのような数が存在するのか、は別問題です。有理数列の極限として存在を保証する必要があります。 ネイピア数の定義はいろいろありますが、いずれも何かの数列の極限をとるので完備化が必要ですね。他の重要な数学定数も似たような感じです。 これらの数が使えなければ、当然、量子力学の結果もほとんど破綻します。 また別の例ですと、代数方程式の解は複素数に限る、という定理があります(代数的閉体)。複素数全体は実軸方向と虚軸方向の2次元的に完備化したものですね。完備化しておかないと、2次方程式の解の公式(a/2の b + ルートなんちゃら)すら解けないですよ。(Read more)