金明秀 Ꮶɨʍ, ʍʏʊռɢֆօօ:相手の人種・民族が何らかの否定的な特徴を持っているという「差別的な思い込み」(discriminatory
assumptions)を前提として発言することは、典型的なマイクロアグレッションですね。
ご質問のケースでは発言の文脈が詳しく説明されていませんので、発言者が「韓国人」に対してどのような差別的な思い込みを持っていたのかわからないのですが、例えば、「韓国人は理不尽な反日感情を持っている」「韓国人は感情的で理性的な議論ができない」「韓国人は粗暴で、おくゆかしさがない」あたりが日本でしばしば聞かれる差別言説です。これらは差別によって強化・歪曲された韓国人イメージですので、そうした差別的イメージを引き合いに出して、あなたがそれとは違うと発言することは、民族的な侮辱に他なりません。
私自身の経験でいえば、以下のような発言を聞いたことがあります。
〇「あなたのように冷静に歴史問題を議論できる韓国人が出てきたんですね」
〇「いくら在日といえども、ちゃんと法律を守る人だって少しはいますよね?」
発言者は、こうした発言を侮辱であると明確に認識していないこともありますが、よくよく聞いてみると、「差別的な思い込みがあった」と認めることも少なくありません。あるいは、(差別だと自覚はしていなかったとしても)「相手を傷つけてやろうという動機があった」と認めることもあります。そしてそもそも、相手の所属集団に対する差別的なイメージを相手本人にぶつけるわけですから、自覚があろうとなかろうと、差別発言以外の何物でもないわけです。