《読者のことを考える》というのが文章を書く原則です。自分が文章を書くとして、その文章を読む人、それが読者です。自分の文章を読む人が誰であり、どんな人なのか、何を考えているのか、どのような気持ちで私の文章に接するのか……それらがわかっていればわかっているほど、読者に伝わる文章を書く可能性が高くなります。

あなたの場合は、一般的な人が読みたくなる文章を書きたいわけではなく、エントリーシートを読む人に読んでもらえる文章を書きたいということになりますね。ということは、エントリーシートを読む人が、何を考えていて、どんな気持ちでいるのかを知る(想像する)必要があります。

本来はあなたが想像することになりますが、仮に私が想像するならば「たくさんのエントリーシートを読んでいるのだから、まずは最初から明確に、短時間で『どんな人か』がはっきりわかる文章」を求めているだろうと想像できます。

エントリーシートを読む人は、結局のところ採用/不採用を判断する材料を求めているわけです。なので、そのための材料が明確に提示されている文章はよく読まれると思いますよ。

自分の考えを文章に表すこと、特に埋もれないように明確に表すことを試みるとするなら「自分が考えていることをはっきりと相手の前にさらけだす」ことになります。すなわち、

・私はこういう活動をしてきました。

・私はこういうことに関心があります。

・私はこういうことが得意で、将来はこういう方向に進みたいと思っています。

ということをさらけだすわけです。そのようにはっきりとさらけだす(情報が提示される)ならば、読まれるんじゃないでしょうか。ただし、それは必ずしも採用に結びつくとは限りません。

あなたは「埋もれないようにしたい」と願っています。それはもっともな願いです。でもよくよく考えてみると、埋もれないというのには二種類あって「こういう人はうちの会社に合いそうだ。ぜひ採用したい」と思う方向で埋もれない場合と、「こういう人はうちの会社に合わないな。採用したくない」と思う方向で埋もれない場合です。

要するに、明確に短時間でどんな人かわかる文章が読まれるでしょう。ただし、それが必ずしも採用に結びつくとは限らないと思います。

就活はたいへんだと思いますが、がんばってください。

2022/01/26Posted
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