粟田知穂:アメリカ国民が気の毒だと思う立法(制度)として真っ先に浮かんだのは、医療改革法(Affordable Care
Act:通称オバマケア)以前の医療制度でしょうか。そして同法も、あくまで国民皆保険制度を目指す方向性ではあるものの未だ完全ではなく、民間保険中心の医療制度を変更するものではありません。オバマケア以前のアメリカでは、自由と自助の名のもと、医療は原則的に自由診療であり、国民の6人に1人は公的な保険や高額な民間保険に加入できない状態となっていたと言われています。また、生命や健康は専ら神の手の中にあるとする福音派の共和党に対する影響力を指摘する向きもあります。いずれにしても、アメリカの医療費は世界の中で断トツに高額であり、とりわけ富裕層と低所得層の医療格差は深刻な問題であって、それは新型コロナウィルスの流行によってより顕在化しました。
御指摘の視点は、グローバルな視点としてとても重要であり、何でもアメリカの真似をしていればよいと考えている政治屋や役人連中にも、自分で考える頭を持ってほしいですね。