むらやん:曲の出だしと終わりを決める、というのが大きいですね。 あとはやはり、指揮者が居ると締まるんですよね。画的に。 ・ 速度を挙げられてますが、指揮者によってこんなに違ってくるのか!?とよく分かるのがあります。 ストラヴィンスキーの『花火』。 ⭐️🎇ブーレーズ 初々しいカップル、浴衣姿で隅田川の花火大会を観賞。時々触れる手と手にドキドキしながら色とりどりの花火に感動。 ⭐️🧨ゲルギエフ 打ち上げ失敗し暴発、逃げ惑う人々。(Read more)
菅野 由弘:プロフェッショナルなオーケストラは、大体60人から80人くらいの演奏家の集合体です。それも一人一人は、超優秀な技量を持ち、音楽感、リズム感、生活感、音楽的信念が皆バラバラ、自我の強さは指折り、人生をかけて音楽と向き合っている人達の集積です。それが、一つの音楽を作り上げる。そこそこの音楽家集団なら、適当な折り合い地点を見つけて、そこそこの演奏をしますし、出来ます。が、本物の演奏家は、そうはいきません。曲に対する「私の解釈」があり、「私の表現」があり、「私の方法」で人生をかけて音楽に立ち向かって来ます。「作曲家は、こう考えてこのメロディを書いたに違いない。「それは、こう歌わせるべきで、その時の音量の膨らませ方はこう、テンポの揺れはこう」といった具合です。そして、これには一つの解はありません。皆の違った解釈は、どれも素晴らしく、どれでも良い、皆正解なのです。が、それが60通りとまでは言いませんが、10通りくらい有ったとします。そこで指揮者の登場です。指揮者も、先ずは「作曲家はどう考えたか」「それを実現するための、自分の解釈と方法」を考えます。そして、曲の全体像から、細部をどう組み立てるか、どうすれば音楽がお客様に届くかを考え、また、オケの演奏家達が、どう考えそうかも予測して、やり方を決めます。そして稽古の一回目、見事にバラバラな集団の意思を尊重しながら、形にして行きます。「どうやるのか」、それは企業秘密ですが、人生をかけて違う解釈をしている演奏家を納得させる音楽的メッセージを送り続けて、音楽を完成させて行きます。そのせめぎ合いのプロセスを経た音楽こそが、名演奏になり、お客様に届くのです。 テンポはと言えば、よほど変化が激しい曲でなければ、指揮者がいなくても、ちゃんと演奏できる人達です。ただ、真ん中にある指揮台で、何もしないのも奇妙なので、常時振っているかと思いますが。 結論としては、月並みですが「音楽作りの要(かなめ)」と言える役割りかと思います。(Read more)