横田有為:「原子レベルで分離した状態」と「原子レベルで混ざった状態」の違いは、元素同士の強い結合があるかどうかによります。2つの元素(もしくは2つ以上)が強固な結合を形成するような環境を整えることで、化合物を形成し、原子レベルで周期的な配列を生じた(混ざった)状態が作れます。
元素同士の結合を生じるか(化合物を形成するか)、元素同士が分離して共存するか、の判断には「状態図」を用います。Aという元素(もしくは化合物)とBという元素(もしくは化合物)の状態図の2つの例を示しましたが、例えば左の図ではAとBを1:1で混ぜ合わせるとABといった化合物が形成されます。この化合物は、AとBが周期的に配列した物質となっているので、原子レベルで混ざっています。一方で、右の図の状態図ではAとBをどの比で混ぜてもAとBは互いに結合した化合物を形成しないため、AとBは原子レベルでは分離した状態となっています。
材料科学の研究者は、このような状態図を用いて様々な目的とする材料を合成しています。もし、状態図の情報がない場合は、研究者自身でX線回折装置と熱分析装置を利用して目的とする状態図の作成を行います。