菊澤研宗:ご質問していただき、ありがとうございます。しかし、誠に申し訳ありませんが、私は会計学者ではないので、この問題について、直接、お答えするのは適切ではないと思います。
しかし、原理的なことについて、少しお話させてください。
そもそも会計的な財務諸表は、関係しているすべての実在を表示し、見える化しているわけではないと思います。それは、基本的には人間が不完全だからです。
例えば、価格変動状況での費用評価をめぐって、時価評価するか、取得原価で評価するか。本来ならば、すべて時価であるべきですが、人間は不完全なので、すべてものを正確に時価で評価できません。その誤差を考えると、取得原価の方がいいといった議論が、ドイツのシューマレンバッハなどによってなされています。
このことを考えると、いまだ貸借対照表に計上されていないものもたくさん存在している可能性があると考えた方がいいと思います。たとえば、知的資産さんなども、購入したときのみ形状されたりしますし、損益計算では、「取引コスト」などは計上されません。
また、ロナルド・コースなどは、会計も(計算表示の難しい)機会コストの計算をすべきだと主張したりもしています。
したがって、今後も、社会の変化や科学技術の発展などの影響を受けて、新しい勘定科目が貸借対照表などに計上される(すべき)ことになる可能性は十分あると思います。
補論:このように、会計が不完全であるがゆえに、経営者の不完全な判断や不完全な意思決定が必要となり、それに対する責任という問題が生まれるのだと思います。会計が完全であれば、会計から独立した経営者は不要だと思います。