高橋賢:AIによって会計士や税理士が消える職業になってしまう,という記事は非常に浅はかで,これらの職業の本質やトレンドを理解していないマスコミの鉛筆ナメナメの記事だなぁ,と思います。会計士は監査だけを,税理士は税務申告だけをやっているわけではありません。コンサルティングや事業承継の橋渡しなど,カネと事業活動に関わる様々な仕事をやっています。確かに,AIによって単純な作業や軽い判断を要するような仕事は代替されるでしょうが,コンサルティングや事業承継などのような人間と人間とを結ぶという不確実性の高い仕事がAIで代替できるとは,少なくとも現状では考えられません。もしそのような仕事を代替できるようなAIができたとすれば,人間の存在自体が必要なくなることになります。
ただし,会計士や税理士に要求される仕事の質は変わっていくでしょうから,資格試験は単なる脊髄反射の計算問題というようなものではなく,会計行為を通じてどのような思考ができるか,という能力を測るような試験に転換していく必要はあると思います。