田口善弘@中央大学:ピケティ『21世紀の資本』をめぐってーー主な批判(補遺)のP117に書かれています。
「国際的な政策協調と資産の価値確定の困難さを理由にグローバルな資産課税は困難だと主張する」
あなたが富裕層だとしましょう。あなたの国で資産課税が発生したとします。すると別の国からメールが来て「我が国に資産を移してくれれば資産税はかかりません」。あなたは迷わず資産を某国に移すでしょう。某国は資産課税はできませんが、その資産が物であってもお金であってもなんらかの利益を得るでしょう。お金ならその国の預金が増えて投資に使えるでしょう。土地や建物だったら固定資産税が入ります。一方、資産課税をしようとした国は預金や固定資産税を失って却って税収が減ることになるでしょう。このような資産の移転を防ぐためにピケティという人は国際的な協調に基づいて資産課税をすべきと主張しましたが、実現性にはいろいろな疑問が提起されています。このような理由から資産課税は実現していないと思われます。