渡辺浩弐:かつて「一生で脳は10%しか使われない」と言われていたことがあり、なら脳だけなら人間は今の10倍生きられる、なんてことを言う人もいました。けれど脳の本質は一瞬一瞬に変化する電子状態であり、容量をはかれるハードウェアではありません。どれくらいの割合が使われているかという考え方にはそもそも、そぐわない存在です。 それから人間は様々な記憶を、そして能力を、都合よく捨て去っていきます。AI研究の第一人者、三宅陽一郎先生が、今まだコンピュータが獲得していない人間の能力として、「忘れる」ことの重要性に言及されていました。脳は、コンピュータがメモリーを消去するのとは違う特殊な方法で情報を整理しているわけです。 脳は、激しく使い続けることでかえって更新されていくマシンである、と、考えます。(Read more)