分子運動の自由度の質問ですね。自由度は運動を“いくつ”考えることができるかで、理解できます。

 1個のボールがあるとすると、このボールは縦、横、高さ、自由に飛び回る運動ができますよね。これは、3次元(縦(x方向)、横(y方向)、高さ(z方向)をそれぞれを1つの次元と考えてください)を飛び回る"3つ"の方向の運動ができると考えることができます。つまり、自由度は3です(並進運動と呼んで、その自由度が3)。

 ん?あと、"回転"もあるじゃん、と思うかもしれませんが、確かにボールだったら回転は大事ですよね。回転運動がなかったカーブもシュートも投げられませんから(笑)。でも、"原子"の運動の場合は原子の体積は無視して全ての質量が中心に存在するので、回転運動の自由度は無いものと考えます。う〜ん...ちょっと難しいですよね。じゃあ、高校の物理で習った回転運動は回転の軸からの距離が大事だったのを憶えています?もし、回転軸の上に質量を持つ物体があっても大きさが0だったら、軸からの距離が0mだからその物体の回転のエネルギーは0J(ジュール)になります。まあ、あれと同じような考え方です。

 話を戻しましょう。1つのボールでイメージできる単原子分子(例えば、ヘリウムやアルゴン)は並進運動の3つの自由度を持ち、回転運動の自由度も振動運動の自由度もないことになります(振動がないのは当たり前ですよね、結合してませんから)。

 ところで、2原子分子は原子が2つくっ付いたものですね。イメージは鉄アレイみたいな感じかな。でもこれ、くっ付いていなかったら2つの原子はそれぞれ3つの並進運動の自由度を持っていたはずです。そうすると、合計で3つの自由度/個×2個で6つの運動の自由度があったはず。分子になろうと、運動の自由度の総数はこのひとつひとつの原子が3つの自由度を持っていたことで決まります。つまり、運動の自由度は3×N(分子を構成している原子の数)になります。つまり、単原子分子だったら運動の自由度は3つ、2原子分子だったら3×2で6個の運動の自由度、3原子分子だったら3×3で9個の運動の自由度、4原子分子だった...もう、いいですよね。

 で、合計3×N(以下3Nと書きますね)の運動の自由度があり、これが色々な運動に分かれるわけです。まず、並進運動、これはx ,y ,z方向に飛び回る事ができますから、3つですね。ボールだろうと、鉄アレイだろうと、ものすごく複雑な形だろうと、x ,y ,z方向に飛び回ることができます。並進運動の3つの自由度を引けば、残りの運動の自由度は3N-3個、これが回転運動と振動運動の自由度の合計になります。

 2原子分子は鉄アレイが運動するイメージです。3× 2- 3 = 3で、合計3つの回転と振動の自由度があるはずです。じゃあ、直交するx,y,z軸を考えて、鉄アレイの両端の錘(おもり)をつないでいる棒をx軸に一致させて、棒の中心が原点(x,y,z軸が交わる点)にあると考えます(頭の中で直交するx,y,z軸をイメージして、鉄アレイを置いてね)。すると、y軸を回転軸とした回転運動とz軸を回転軸とした回転運動が考えられます。ん?...難しい、ですかね。頭の中で鉄アレイを回してみて下さい、頭の体操でーす(笑)。さて、y軸とz軸周りの回転は考えますが、x軸を回転軸とした運動は考えません。だって、鉄アレイの棒とx軸が一致してますから、x軸の上にすべての質量が集まってます原子は体積が無いと考えますから)。さっきの原子の運動の時に回転の自由度を考えないのと一緒です。

 結局、2原子分子では回転運動が2種類、つまり、回転の自由度が2つですね。ということで、3- 2= 1、この残り1つが振動運動の自由度になります。鉄アレイの棒の伸び縮みはちょっと想像できませんが、2原子分子では原子の結合している距離が伸びたり縮んだりする運動がありますから、これが振動運動になります。

 次に、3原子分子を考えてみます。二酸化炭素なんて代表的な3原子分子です。酸素-炭素-酸素と直線につながっています(直線分子と言います)。串にささったお団子みたいなイメージでしょうか。まず運動の自由度は9個、そのうち、並進運動が3個、ここまではもうわかりますよね。残り、6個が回転と振動運動の合計です。この串団子の回転運動、鉄アレイとほぼ一緒です。串とx軸を一致させれば、y軸とz軸を回転軸とした2種類の回転運動を考える事ができます。x軸を回転軸とした運動はやっぱりありません。つまり、回転の自由度は2つです。6- 2= 4で、残り4つが振動運動になります。4つの振動運動をイメージですか...さすがに難しくなってきましたね...

 じゃあ、そうですね、両手を体の左右にまっすぐ地面に水平に伸ばした姿をイメージしてください。胴体の部分に炭素があって両こぶしが酸素で、水平にまっすぐ伸ばしているから"直線分子"と(笑)。振動運動としては、1. 両腕を水平に保ったまま一緒に伸ばしたり、縮めたりする運動、2. 水平に保ったまま、片方伸ばして、片方縮める運動がありますね。これで、2つ。残りは???実は直線と言いながら少し折れ曲がる運動も考えられるのです。つまり、両手を一緒に少し上げたり下におろしたり、バタバタと。これ、3.上下、以外に、4.前後も可能ですよね。つまり、振動は、1.一緒に伸び縮み、2.片方伸びて、片方縮む、3.上下にバタバタ、4.前後にバタバタの4種類ですね{イメージですよイメージ、本当は分子の重心が動いちゃいけないので、もうちょっと複雑かな}。そうそう、右手を上げて逆に左手を下げるなんて振動はダメなの?って思うかもしれませんが、それ振動じゃなく回転してます。炭素を中心に酸素が回ってます、既に考えた回転運動です(笑)。

 つまり、二酸化炭素(直線3原子分子)は9個の運動の自由度があり、並進が3つ、回転が2つ、振動が4つになります。

 では、同じ3原子分子の水も一緒か、となりますと、今度はちょっと事情が異なります。水は3つの原子(水素-酸素-水素)が直線じゃないです(非直線分子といいます)。ヤジロベーみたいなイメージですかね(漫画のキャラクターの方じゃなくおもちゃのヤジロベーね、昭和の香りだな(笑))。すると全ての質量が乗ることができる回転軸はありえませんので、回転の自由度は3つになるんです。つまり、先ほどの例で、二酸化炭素はx軸の周りの回転の自由度を考える必要がなかったのですが、水はx, y, zすべての軸の回転の自由度が存在することになりますから、残り3つが振動の自由度になります。つまり、二酸化炭素の自由度の状態から回転の自由度が1つ増え、その分、振動の自由度が一つ減ることになります。

 二酸化炭素では、1.一緒に伸び縮み、2.片方伸びて、片方縮む、3.上下にバタバタ、4.前後にバタバタの4つの振動があったのに、水は3つしかない????、なぜ?ってなりますよね。じゃあ、やっぱり手を左右に伸ばした姿をイメージしましょうか。ただし、今度は地面に水平でまっすぐ横ではなく少し下方向に下ろしておきましょう。ヤジロベーですよ、ヤジロベー(笑)。で、1.一緒に伸び縮み、うん、ありそう。2、片方伸ばして、片方縮める、うん、この振動もありそうですね。3.上下にバタバタ、うん、まあ、少しぐらい直線から曲がっていてもそれは関係なさそうですね、この振動もありそう。4.手を前に胴体を部分を後ろに、で、手を後ろに胴体部分を前に、バタバタと、うん、これも、あり...ちょっと待て、これ、回ってないですか、手を後ろに胴体を前にって、前に傾いてお辞儀っぽくなってるし、手を前に胴体を後ろにって、のけ反ってるし、つまり、この4番の運動は、直線分子だったら振動運動だったのですが、非直線分子だったらくるっと回る"回転運動"になってるじゃん...、ん?...わからない、ですって、えーっ、じゃあ、今度は、頭の体操じゃなく、本当に手を伸ばして体操しながらイメージしましょうよ。二酸化炭素や水を演じながら(笑)

 で、結局、水(非直線3原子分子)の場合は、9個の運動の自由度があり、並進が3つ、回転が3つ、振動が3つになります。

 これをまとめたのが、あちこちで出てくる次のようなまとめですね。

 分子の運動の自由度の合計は3N個{Nは分子を構成する原子の数}

うちわけ:

単原子分子:並進3 のみ

直線分子:並進 3, 回転 2, 振動 3N-5

非直線分子:並進 3, 回転 3, 振動 3N-6

 ところで、自由度は、実際に図を描いて理解するのが一番です。まあ、ここでは文章だけで書きましたけど、分かりにくかったでしょ(笑)。自分で図示して理解しましょう!!ということで、最後は頭をも手も使って絵をかいて、頭&体(手?)の体操です(笑)。

2023/01/17Posted
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