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三年以上一緒に過ごした人と別れること、しかも「これ以上のひとはいない」とまで言える人と別れることは、とても大きな出来事であると思います。後ろ髪を引かれてしまうというのは当然のことです。お気持ち、お察しいたします。

ご質問の冒頭に、別離を「乗り越える」という表現がありました。とても大きな出来事ですから、なかなか簡単には「乗り越える」という境地まではいかないと思います。あるときに「乗り越えた」と感じられたとしても、ふとした拍子に「まったく乗り越えていない」と感じられることがあるかもしれません。それは無理もないことです。

私は「自分に対してたっぷり時間を贈る」という気持ちが大事ではないかと思います。

いま、すぐに気持ちを切り換えることを目指さない。いま、すぐに別離を乗り越えることを目指さない。いま、すぐに何とかすることを目指さない。いま、すぐに結論を出すことを目指さない。自分に対してたっぷり時間を贈るというのはそういう意味です。

波のように揺れ動く自分の心を無理矢理に鎮める必要はありません。とても大きな出来事を通過したのですから、揺れ動くのは仕方がないのです。その揺れ動く気持ちは、あなたにとってその人が大切であること、その人と過ごした時間が大切であることのしるしともいえるでしょう。

あなたがこれからどのように歩んでいくのかはわかりませんが、現在の自分に対してたっぷりと時間を贈ることは決して無駄にはならないと思います。

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結城浩

EngineerWriter

本を書いて生活しています。著書は『数学ガール』『プログラマの数学』『数学文章作法』『暗号技術入門』など多数。文章を書くこと、学んだり教えたりすること、プログラミング、数学、人と人とのコミュニケーションなどに関心があります。詳しい活動内容は https://mm.hyuki.net/n/n5f00c9cd281c をご覧ください。アマゾンの著者ページは https://link.hyuki.net/amayuki にあります。なお、私は数学読み物を書いていますが、数学科出身でもありませんし、数学の研究者でもありません。2014年度の日本数学会出版賞を受賞しました。〔ゆうき・ひろし〕