粟田知穂:「人質司法」というのは一般的には身柄拘束を手段として自白を強要することだとされますが、日本の刑事訴訟法の解釈としてそのような制度にはなっておらず(被疑者段階における逮捕勾留はそもそも取調べを目的としたものではなく、罪証隠滅や逃亡のおそれを防いだ上で起訴不起訴を判断するための期間であると解されています)、前提に誤解があるように思われます。 海外との比較において身柄拘束期間が長いのではないか、弁護人の取調べ立会権がないのではないかといった批判もありますが、各国の文化や制度の違いによるものであり、例えば身柄拘束期間についてイギリスは短期間といえますが、それ以外のアメリカや韓国も日本と同程度、フランスやドイツは数か月から数年の期間認められるなど、こちらも前提に誤解があるように思われます。 他方、日本において通信傍受やおとり捜査、司法取引等が認められている範囲が諸外国に比べ狭いのは御指摘のとおりであり、その点も被疑者を含めた一般国民の人権に十分配慮してのものです。犯罪発生件数や発生率は未だなお日本は海外より優れているともされており、司法制度は全体を見て議論する必要があるということかと思われます。 なお、カルロス・ゴーン被告の逮捕勾留の際にメディア等から批判が相次いだ(その後の経過は御承知のとおりです)ために法務省の方で準備した説明のリンクを貼っておきますので参考にされてください。 https://www.moj.go.jp/content/001331130.pdf(Read more)