竹村俊彦:それは、大気汚染の改善が原因の可能性が高いです。大気中の微粒子(エアロゾル)は、自然由来のものもありますが(砂粒や海の波でできる塩粒など)、人類が燃料を燃やすことで大量に排出され、大気汚染を引き起こします。大気中のエアロゾルは太陽光を散乱したり吸収したりする性質を持つため、その濃度が高いと、地上へ届く太陽光の量は減少します。 日本では、戦後の高度経済成長期に、大気汚染が深刻な社会問題となりました。4大公害病の1つである四日市ぜんそくは、エアロゾルが主な原因です。首都圏でも、大気汚染は当然深刻でした。その後、対策が進められて、大気中のエアロゾル濃度は減少していき、例えば、東京から富士山が見える日が格段に増えたことは有名です。石原慎太郎・元東京都知事が、エアロゾルの一種であるブラックカーボンをペットボトルに入れて、記者会見でそれをばら撒いて大気汚染対策をする決意を示したことを覚えている方もいるかもしれません。 太陽が眩しくなってきたのは、空気がきれいになって、本来の自然の姿に戻りつつある結果です。サングラスをするなど、必要に応じて対策はした方が良いかもしれません。 ちなみに、気候変動の観点では、エアロゾルは、温室効果ガスによる地球温暖化をいくらか相殺します。太陽の光を地上に届きにくくしているということは、エアロゾルは寒冷化をもたらす物質ということです。大気汚染による健康影響を軽減するためにエアロゾル濃度が減少し、一方で温室効果ガス濃度は上昇し続けているので、地球温暖化が加速しているのが現在の状況です。(Read more)