熊崎 宏樹:良い質問ですね。より正確には「故障モデルへの配慮なしでは2PCは使い物にならない」であり、SpannerはPaxosを用いてSpanServerの故障に備えているのでその限定的な状況の上でSpanServer間の調停に2PCが実用されています。
2PCという概念は歴史が古く、障害時の振る舞いを含めると大量に亜種があります。また「2フェーズあれば2PC」まで概念を広げたらPaxosも2フェーズと言えなくもないという強弁も可能ですし、その上でなら仰る通り「分散DBにおいて2PCという用語は使用されており,(改良が入っているものの)2PC自体は使われている」というのは正しいとは思います。
ただし2PCという名前で出回っているものは過去見た中では全てコーナーケースにバグを抱えていました。そもそも2PCの正しい仕様と呼べるものが世の中に存在せず、更には信頼性を売りにした商用システムですら自前実装の2PCを過信しているのが現状であり、「2PCはバグなく実装するのが難しい」という伝え方では腕自慢のプログラマが自信満々にバグを埋め込んでしまうのが10年単位で続いて来てしまったこの経緯を見るに「2PCは仕様レベルで故障に耐える事が出来ないので故障しうる世の中のシステムで使ってはならない」という形で世間に認知されるべきだという考えに至りました。