橋本 省二:電子軌道の絵をみるとどちらかの方向を基準に描かれているように見える。宇宙に基準になる方向があるとでもいうのか? いい質問ですね。そういう素朴な疑問をもつことは大事です。ぜひ疑問が解消するまでじっくり考えてみてください。量子力学の本質がわかってくるはずです。 あれ? これで終わってしまっては回答になってませんか? せっかくだからヒントだけ出しておくことにしましょうか。 両端を固定した1次元のひもの振動を考えるときは、そのままでもいいけどフーリエ展開を使うと話が簡単になります。ひものあらゆる振動は、波数1、2、3...、の波の重ね合わせで書けるわけです。同じことを、両端をつなげて輪になったひもでやってみましょう。その場合も同じように1周したら元に戻るようないろんな振動モードを重ね合わせて書けそうですね。 次は2次元にしてみましょうか。太鼓の皮の振動モードです。回転対称な振動モードに加えて非対称に波打つモードもありそうですよね。左右にゆれたり、縦横にふくらんだりしぼんだり。もっとややこしそうなのもありそうです。あ、いま左右と言いました。どこかに基準になる線を引いて左右を考えたわけですけど、まるい太鼓に本来右も左もありません。いま考えた左右は便宜的に決めただけで、最終的にはすべての基準振動をもってきて、それらで展開するだけの話なので、便宜的に決めた左右はどうでもいいはずです。 さあ、最後は丸い風船の表面に立つ波の問題です。ヘソはなくて完全な球形だとしましょう。この表面の波をあらわすための基準振動のことを球面調和関数といいます。フーリエ展開で出てくる三角関数の代わりになるのがこれです。これらを全部もってきて展開する。だとすると... 。 これでヒントになってるでしょうか?(Read more)
田口善弘@中央大学:どっちも向ていません、というのが答えです。あの図はあくまで複数の電子軌道の相対的な向きの関係を示しているにすぎないので、個々の電子軌道がどっちを向いているとかありません。お互いの向きを変えなければ全体を自由に回転できます。 普通に「空間にx,y,z座標を設定してください」と言われたら向きに決まりはなく「どっちでもいい」ことは解るとおもいますが、同じように向きは「任意」です。(Read more)