橋本 省二:大学入試問題作成の裏側ぜんぶ見せます! いますぐここをクリック!
大学教員がそんなことをやったらクビ確定です。どういうプロセスを経るか、それだけでも何らかの情報になるでしょうから受験生の公平を損なうでしょう。きっと解答は得られないんじゃないでしょうか。だから今日は雑談にさせてください。
東大物理の入試問題(2023年)が難しかったと話題になったそうですね。私も興味本位で見てみました。確かにこれは厳しそうです。どの問題も設定を理解するだけで時間がかかります。質量を測る装置の問題なんて意図を読み取るだけで大変です。別の問題には量子ホール効果が。これほんとに大学入試ですか?
高校生が解くんですか? 私はとても正答にたどりつきそうもありません。これができる受験生はほんとにすごい。
問題をながめていてウン十年前のことを思い出しました。私が受験生だったころのことです。高校の授業にでてきた物理には何の興味も湧きませんでした。ただ何となく理系を選んだので(そして生物は大苦手だったので)物理も仕方なく受験勉強をしなきゃ。そうして入試問題集を開きました。そしたら、これが滅法おもしろいんです。量子論や原子物理のふしぎな世界に最短距離で連れて行ってくれるような問題。もちろん自分で解くのは難しいのですが、解答を読みながらじっくり進みます。教科書に書いてあったのはこういうことだったのか。特におもしろい問題の出典は、ほぼ例外なく東大。難問奇問のたぐいではなく、本質にダイレクトにせまるとでもいうんでしょうか。物理が一気に好きになりました。もちろん私の実力では東大への受験なんて思いもよりませんでしたが。
今回の問題。選抜試験としては失敗作なんだと思います。受験生全員が10点以下(かどうか知りませんが)では合格不合格の差がつきませんからね。でもじっくり考えると物理の楽しさを教えてくれるような問題だと思うんです。いくら時間がかかったっていいじゃないか。そう腹を括ってこの問題を出した先生方に拍手を送りたいです。当事者じゃないやつが気楽なことを言いやがって。そんな声が聞こえてきそうなのでこのへんで失礼します。