真空空間に濡れタオルを入れれば凍る場合もあるのは確かだけど、それは真空の温度とは関係ない話だよ。そして真空の温度と言うのは割と難しいよ。

まずは簡単に、真空でタオルが凍るという点。水が0℃で凍り100℃で沸騰するというのは、この地上でのお話。例えば富士山の山頂では87℃で沸騰するよ。この違いは、物質が固体・液体・気体になる条件が、温度だけでなく圧力にもよることが関係しているよ。そして富士山の山頂は地上よりも気圧が低いので、それだけ沸点が下がるね。ってことはどんどん圧力を下げると、いつかは絶対零度でも沸点を迎えることになるから、濡れタオルは凍らないまま乾くはずだよ。ただ、現実には大気圧からいきなり圧力をゼロにすることは難しいし、蒸発が始まった時に気化熱で水そのものの温度が下がるので、初めは凍って、その後氷から水蒸気へと直接昇華する現象が起こるよ。なので、真空空間に濡れタオルを置けば凍る "場合もある" と、ちょっと濁した書き方になるよ。

さて、次は真空の温度について。例えばものの本で真空の宇宙空間の温度を調べてみると、-270℃と書いてあるよ。これは絶対零度にかなり近いけど、絶対零度ではないよ。これは何でだろう。熱の伝わり方は「伝導」「対流」「輻射」の3つがあるよ。伝導は最も簡単で暖かいものに触れば暖かく感じるというやつだよ。これはその物体から皮膚へと直接熱が伝わる現象だよ。対流は、熱を持つ流体が何か別の表面に熱を伝えるもので、例えばエアコンの暖かい空気は対流で熱を伝えるよ。そして輻射は、赤外線のようなエネルギーを受け取る形で熱を伝える形式だよ。真空の場合、熱を伝える物質自体が存在しないので、伝導も対流も起きないよ。しかし真空でも電磁波は伝わるよ。そうじゃなければ、真空の宇宙空間を伝わって、太陽光が地球に届いたりしないからね!実は宇宙には「宇宙マイクロ波背景放射」と呼ばれる、宇宙誕生直後の光が全方向から届いているよ。これは遠い距離を旅した上に、空間の膨張で波長も引き伸ばされているので、エネルギーがかなり弱くなっているよ。だから宇宙空間の温度は、絶対零度より少しだけ高い-270℃に "加熱" されていると言えるね。このように、物質がない宇宙空間でも、エネルギーによっても温度が定義できるよ。

よって、物質がないという理由だけで、真空の温度を絶対零度とすることはできないよ。なぜならそこにはエネルギーという考慮すべき項目がないからね。物質が全くなく、エネルギーも全て遮断しているという、机上でしか存在しない理想的な真空ならば、それは絶対零度と言えるけど、実際の真空だと温度を持っている場合もあるのはそういうことだよ。そして、濡れタオルは条件次第で真空で凍る場合もあるけど、これは真空が絶対零度であるかどうかとは、直接には関係ないよ。

1 year ago1 year agoUpdate

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