大学名誉教授野田:量子力学の基本原理として、「同じ量子数の軌道にはspin upとspin downの2個しか存在できない(パウリの原理)」があります。量子数は「エネルギー、角運動量、磁場に対する反応」に対応しており、その状態に対応してエネルギーが決まります。この取っている状態を電子が運動している、或いは存在している位置(波動関数)として軌道という概念があります。つまり、軌道(波動関数)とエネルギー(固有値)が対応しています。エネルギーで分類する(n=1,2,3..)のが主量子数と呼ばれます。角運動量(L=0,1,2,3...)に対応してs軌道、p軌道、d軌道と名付けられています(KLMN殻は同じ物の別の名前の付け方)。さらに、磁気に対応する量子数(m=-L~+L)があります。量子数(n,L,m)で決まる軌道にspinが二種類(up,down)の2個のみが存在できます。これが、「一つの外殻に全ての必要な電子を載せることが出来ない」理由です。なぜ軌道が別々になっているのか、その直感的理解は、電子は粒子としてではなく波として存在しており、波の波長が原子核の回りを一周したときに位相が一致するという条件を満たす必要があるからです。(Read more)